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曲名: |
養老《ようろう》 |
作者: |
世阿弥 |
季節: |
夏(旧暦4月) |
場所: |
美濃・養老の滝 |
分類: |
脇能物・二場 |
上演時間: |
約1時間30分 |
上演データ: |
第13回
響の会
2002年7月20日(祝)
宝生能楽堂
シテ・清水寛二
※小書「水波之伝」
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清水寛二〔撮影:吉越 研〕 |
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●あらすじ |
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文・表きよし(国士舘大学21世紀アジア学部教授) |
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美濃国に不思議な泉が出現したというので、雄略帝の勅使(ワキ)が様子を見にやって来る。すると樵翁(前シテ)と樵夫(前ツレ)の親子が現れ、樵夫が薪取りの帰りにこの泉に立ち寄って水を飲んだところ、爽やかで疲れもとれる感じがしたので、水を汲んで家に持ち帰って父母に飲ませると、老いを忘れる心地になったと語る。樵翁と樵夫が薬水の故事を物語って帰っていくと、空から花が降り音楽が聞こえ、天女(後ツレ)が現れて舞を舞う。さらに山神(後シテ)も出現して舞を舞い、治世正しく平和な世であることを祝福する。
〔'02/7/20 第13回 響の会 パンフレット掲載〕 |
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文・表きよし(国士舘大学21世紀アジア学部教授) |
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孝子による霊泉伝説は岐阜県の養老の滝以外にも全国各地に存在しており、説話集『十訓抄』や『古今著聞集』にも見えている。これらの霊泉伝説を素材とする世阿弥作の脇能だが、前シテが神の化身ではなく現実の老人であるなど特異な点が目立つ作品である。前場の最後で奇瑞の兆候が示される点から、本来は樵翁と樵夫は中入りせずに舞台に残り、そこに山神が出現する形だったのではないかとも考えられている。
「水波之伝」の小書が付くと、間狂言が省略されて前場が終わるとすぐに後場となり、通常の演出にはない天女が登場する。後シテの舞う「神舞」も緩急の変化が大きい舞になり、後シテの面や装束も通常の演出とは異なったものとなる。山神の持つ性格が強調された演出であり、華やかな天女の舞と勇壮な山神の舞など見所が多い能となっている。
〔'02/7/20 第13回 響の会 パンフレット掲載〕 |
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