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曲名: |
頼政《よりまさ》 |
作者: |
世阿弥 |
季節: |
夏・旧暦5月 |
場所: |
山城・宇治平等院 |
分類: |
修羅物・二場 |
上演時間: |
約1時間45分 |
上演データ: |
響の会
第14回研究公演
2001年6月14日(木)
銕仙会能楽研修所
シテ・大槻文蔵
第15回 響の会
2004年6月26日(土)
宝生能楽堂
シテ・清水寛二
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清水寛二〔撮影:響の会〕 |
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●あらすじ |
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文・表きよし(国士舘大学21世紀学部教授) |
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旅僧(ワキ)が奈良へ向かう途中に宇治の里を通りかかり、すばらしい風景に見とれていると、老翁(前シテ)が現れて旅僧に声をかける。旅僧がこのあたりの名所旧跡を尋ねると、老翁は様々な名所を旅僧に教え、さらに平等院へと案内する。旅僧が平等院の庭に扇の形に刈り込まれた芝があるのを不審に思って老翁に尋ねると、この扇の芝は源頼政が自害して果てた場所であり、しかも今日がその合戦のあった日だと語る。やがて老翁は自分が頼政の霊であることを明かし、いずこへともなく姿を消してしまう。
所の者(アイ)から頼政が平家と戦うことになった経緯などを聞いた旅僧が再び頼政の霊が現れるのを待っていると、法師姿で武装した頼政(後シテ)が現れ、さらに経を読んでほしいと言う。頼政は、平家に謀反を起こして奈良へ向かう途中で平家に追いつかれ、宇治橋を挟んで合戦となったことや、三井寺の僧兵たちの活躍ぶり、足利又太郎忠綱の指示によって平家が馬で宇治川を渡る様子などを語って聞かせる。そして「埋もれ木の花咲くこともなかりしに身のなる果てはあはれなりけり」という歌を遺して扇の芝で自害したことを語ると、自分を弔ってほしいと言い残して再び姿を消していく。
〔'04/6/26 第15回 響の会 パンフレット掲載〕 |
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●解説 |
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文・表きよし(国士舘大学21世紀学部教授) |
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世阿弥作の二番目物。源頼政は平安時代末期に活躍した摂津源氏の武士で、平家とは友好的な関係を保っていたが、息子の仲綱が平清盛の子の宗盛に屈辱的な仕打ちをされたことを契機として、七十七歳という高齢でありながら平家打倒の謀反を企てた。宇治橋の上での頼政軍と平家軍との激しい合戦の様子は『平家物語』巻四「橋合戦」に詳しく描かれており、本曲もこれを素材としている。また頼政は歌人としても知られており、『源三位頼政集』という歌集を遺している。平等院で自害するにあたり辞世の歌を詠むのは和歌を愛した頼政らしいが、その歌は平家全盛時代にたいした活躍もなく生涯を終えようとする我が身を詠んだものだった。そんな頼政の生涯における華々しい活躍に鵺退治がある。宮中に飛来して天皇を悩ませる鵺という怪鳥を頼政がひと矢で射落としたという話だが、世阿弥は『平家物語』に描かれる頼政の鵺退治を題材として、退治された側の鵺の霊を主人公とする能〈鵺〉も作っている。能〈頼政〉では、歌人としての風流な面と、平家に反旗を翻す武士としての荒々しさ、敗れ去る者の悲哀がどのように表現されるかが注目される。
〔'04/6/26 第15回 響の会 パンフレット掲載〕 |
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