響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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屋島
曲名: 屋島《やしま》
作者: 世阿弥
季節: 春(旧暦3月)
場所: 讃岐・屋島
分類: 修羅物・二場
上演時間: 約1時間35分
上演データ: 第1回 響の会
1991年4月6日(土)
宝生能楽堂
シテ・西村高夫
 
●あらすじ
文・表きよし(国士舘大学21世紀アジア学部教授)
 都から讃岐国の屋島の浦へとやって来た旅僧(ワキ)は、日が暮れたので塩屋で夜を明かすことにする。そこへ塩屋の主の漁翁(前シテ)と漁夫(ツレ)が戻ってきたので宿を乞うと、見苦しい塩屋だからと断られるが、旅僧が都から来たと知った漁翁は都のことをしきりに懐かしんで旅僧を泊めて くれる。旅僧の求めに応じて漁翁は屋島での源平合戦の様子を物語るが、その話しがあまりに詳しいので不審に思った旅僧が漁翁の名を尋ねると、漁翁は自分が義経の亡霊であることをほのめかして姿を消してしまう。塩屋の見回りに来た屋島の浦人(アイ)に今の出来事を話し、弔いをすすめ られた旅僧が待ち受けていると甲冑姿の義経(後シテ)が現れ、現世で闘争に明け暮れたために成仏できないことを嘆きつつも、屋島合戦で弓を取り落とし、命がけでそれを取り返した様子を物語る。やがて修羅道の合戦の物音があたりに響きわたり、義経は激しく戦う様を見せるが、夜が白々と明け始めると義経の姿は見えなくなってしまう。
 二番目物(修羅能)の複式夢幻能で「平家物語」の屋島合戦話を典拠とする能。作者は明らかではないが世阿弥作である可能性が高い。世阿弥は「申楽談儀」の中で〈通盛〉〈忠度〉とともに[修羅がかりにはよき能也]として〈屋島〉を高く評価している。

〔'91/4/6 第1回 響の会 パンフレット掲載〕
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