響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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善知鳥
曲名: 善知鳥《うとう》
作者: 世阿弥(一説)
季節: 夏・旧暦4月
場所: 越中・立山の麓/陸奥・外の浜
分類: 四番目物・二場
上演時間: 約1時間25分
上演データ: 響の会 第34回研究公演(予定)
2008年10月31日(金)
銕仙会能楽研修所
シテ・西村高夫
善知鳥
故 観世寿夫〔撮影:増田正造〕
●あらすじと解説
 何しに殺しけん、我が子のいとほしい如くにこそ鳥獣(とりけだもの)も思ふらめ…
 
 奥州外(そと)が浜を目指す僧が立山に至る。
 地の裂け目より吹き上がる昇華硫黄、剥(む)き出しの山肌、血の池、この世の地獄を目の当たりにし、僧は茫然と立ちすくむ…。
 そこへ現れる一人の老人。去年亡くなった外が浜の猟師の形見を妻子の元に届けてほしい、と頼む。確かな証拠を求める僧に、老人は自らの麻衣の袖を引きちぎって渡す。
 外が浜。猟師の家。麻衣を受け取った妻は、これこそ夫の形見と泣き崩れる。亡き猟師の弔いを始める僧。
 やがて現れる猟師の亡霊。「うとう」と声をかけるとそれを親鳥の声と思って巣からはい出す雛。猟師は生き続けるため、雨の日も風の日も、「うとう」と呼びかけ殺生に明け暮れた…。善知鳥はあの世で鉄の嘴(くちばし)を持つ怪鳥となって猟師の眼をついばむ。地獄の責め苦に耐え切れず、猟師の霊は僧に救いを求め消えていった…。
 最果ての地を舞台に、生きることの業を描き切った名作。

〔'08/10/31 第34回研究公演 チラシ掲載〕
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