響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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俊寛
曲名: 俊寛《しゅんかん》
作者: 不詳
季節: 秋(旧暦9月)
場所: 鬼界ヶ島(現 鹿児島県)
分類: 四番目物・一場
上演時間: 約1時間10分
上演データ: 響の会 第20回研究公演
2003年9月3日(金)
銕仙会能楽研修所
シテ・観世銕之丞(九世)
※ 袴能
 
●あらすじ
文・長谷部好彦(響の会通信編集委員)
 平清盛の御代、高倉天皇中宮徳子の御産祈願のため、特別の大赦が行われることとなった。鬼界が島の流人に赦免を申し渡すため、赦免使(ワキ)は島に向かう。
 鬼界が島では丹波少将成経(ツレ)と平判官康頼(ツレ)が三熊野の神を勧請し、祈りを捧げている。
 そこに同じ流人の俊寛(シテ)も現れる。俊寛は酒を持ってきたと言う。酒などあるはずもないと詰め寄る康頼。するとそれは酒ではなく、ただの水であった。長月九日重陽の節句のこの日、酒なき宴に三人の流人はかつての栄華を思い出し涙する。
 船頭(アイ)の操る船に乗り、赦免使が島に着く。しかしその赦免状には成経康頼二人の名はあっても、俊寛の名がない。何度も赦免状を読み返す俊寛。しかしその名はどこにも見つからない。
 やがて船出の時間がきた。強引に船に乗ろうとする俊寛を櫓で脅しさえぎる船子。諦めきれない俊寛は、纜(ともづな)をつかみ船を引き留める。すると纜は切られ、皆を載せた船は動き始める。船はやがて見えなくなり、後には俊寛一人が取り残された。
 
 冷房のない往時は、夏の風物詩でもあった袴能。面・装束までもそぎ落とすことで、役者の身体だけが頼りの究極の劇が現出する。今回は特別に狂言も「袴狂言」の形式での上演となる。

〔'03/9/3 第20回研究公演 パンフレット掲載〕
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