響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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卒都婆小町
曲名: 卒都婆小町《そとばこまち》
作者: 観阿弥
季節: 秋・旧暦9月
場所: 山城・鳥羽
分類: 四番目物・一場
上演時間: 約1時間45分
上演データ: 響の会 第33回研究公演
2008年9月1日(月)
銕仙会能楽研修所
シテ・山本順之
※袴能による
卒都婆小町
山本順之〔撮影:前島写真店〕
●あらすじと解説
 一人の老女(シテ)が道を行きます。ときに立ち止まりながら。
 休息のため、朽木に腰掛ける老女。腰掛けたのは朽木にあらず、卒都婆でした。それを見咎める高野山から出た二人の僧(ワキ)。図太くも老女は、「朽木にしか見えぬ」と動じません。老女は僧と問答になります。
 やがて「仏も衆生も隔ては無い」と僧を言い負かした老女は、さらに戯(ざ)れ歌を投げかけます。「極楽の内ならばこそ悪しからめ 外はなにかは苦しかるべき(ここが極楽の内であったならば気も遣うが、外では何の問題があろう)」僧は老女をただならず思い、その素性を訊ねます。聞けばかつて絶世の美女と歌われた小野小町、百歳の乞食に落ちぶれた姿だったのです。人の憐れみを乞うて生きる小町。突如その様子が変わります。「小町がもとへ通はうのう」数々の色恋沙汰で都を賑わした小町。その中でも百夜通えば願いを叶えようと小町に言われ、九十九夜目に果てた深草の少将の怨霊がとり憑(つ)いたのでした…。
 観阿弥作。臨場感あふれる問答や後半の憑依など、能の古態をも想像させる異色の能。今回はシテが先に舞台に登場する「一度之次第」の小書(特殊演出)で。劇としての活力に満ちたこの能を、役者の身体のみを表現手段とする袴能で上演する。

〔'08/09/01 第33回研究公演 パンフレット掲載〕
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