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曲名: |
蝉丸《せみまる》 |
作者: |
世阿弥 |
季節: |
秋・旧暦8月 |
場所: |
近江・逢坂山 |
分類: |
四番目物・一場 |
上演時間: |
約1時間40分 |
上演データ: |
響の会
第24回研究公演
2004年11月18日(木)
銕仙会能楽研修所
蝉丸・西村高夫/逆髪・清水寛二
※ 小書「替ノ型」
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蝉丸・西村高夫/逆髪・清水寛二
〔撮影:吉越 研〕 |
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●あらすじ |
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文・長谷部好彦(響の会通信編集委員) |
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延喜帝(醍醐天皇)の第四皇子蝉丸は盲目として生を受けたが、ついに父帝の勅命によって逢坂山にうち捨てられることとなった。廷臣の清貫は蝉丸を剃髪し、簑・笠・杖を与え都へ帰っていく。一人残った蝉丸は、それを伝え聞いた博雅の三位の計らいにより粗末な藁屋に雨露をしのぎ、自らの哀れな身を慰めるように琵琶を弾くのだった。
一方、醍醐天皇の第三皇女逆髪は何の因果か心乱れ、髪が逆立つ異様な姿で物狂いとなり都をさまよい出でた。異様な姿を笑われた彼女は、たしかに我が髪は逆さまだが、皇女を庶民の身分で笑うのも逆さまであり、順逆は見方によるものだ、と言い返す。
やがて逢坂山にやってくると、村雨の降る中ふと耳にする、都での懐かしい思い出を誘うような琵琶の音。音に引かれるように藁屋に近づくと、中から聞こえてきたのは弟・蝉丸の声だった。
姉と弟は手を取り合い、互いの境涯を嘆き悲しむが、やがて逆髪は、いつまでこうしていても名残はつきないと、またいずこへともなく立ち去っていく。その後姿を見えぬ目で見送る蝉丸がただ一人…。
〔'04/11/18 第24回研究公演 パンフレット掲載〕 |
●解説 |
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文・長谷部好彦(響の会通信編集委員) |
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蝉丸の名は「後撰集」の中で、逢坂の関の近くに住んでいた琵琶の名手として初出し、その後多くの古典文学作品の中に登場している。現代に至っても、定家の作った百人一首でなじみ深い。一方、逆髪は逢坂の関の明神として蝉丸とともに祀られている。逆髪は坂神、すなわち「坂の神」であった。
本曲は江戸初期までは謡だけのものとして伝存した。作者不明。世阿弥作の説もあり。
今回は蝉丸・逆髪を両シテとする「替ノ型」の小書(演出)により、作り物の位置が変わる等、常よりも蝉丸の存在や思いに焦点をあてた舞台となります。
本日の面は、蝉丸=「蝉丸」・作者不詳、逆髪=「増女」・洞水作。
〔'04/11/18 第24回研究公演 パンフレット掲載〕 |
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