響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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望月
曲名: 望月《もちづき》
作者: 不詳
季節: 春(旧暦1月)
場所: 近江・守山
分類: 四番目物・二場
上演時間: 約1時間30分
上演データ: 第12回 響の会
2001年9月8日(土)
宝生能楽堂
シテ・清水寛二
望月
清水寛二〔撮影:吉越 研〕
●あらすじ
文・清水寛二/西村高夫
 信濃国、安田友治は争いの末に、望月秋長に討たれてしまった。
 友治の妻と一子・花若は、秋長を避け流浪の身となり、近江国守山の甲屋という宿屋に泊まる。その甲屋の主人こそは、昔友治に仕えた家臣・小沢友房であった。主従は奇しき再会を喜ぶ。
 一方望月は、友治を討ったことの詮議のため長く在京を余儀なくされたが、許され信濃国への帰途についた。望月も守山に着き名を隠して甲屋に宿をとる。しかし従者の失言でめざす仇と知った友房は、仇討ちにはやる花若を押しとどめ一計を案じた。
 望月を酒でもてなし、友治の妻を盲御前に仕立て、曾我兄弟の仇討ちの物語を謡わせ、花若には羯鼓を打たせ、自らは獅子を舞う。やがて酒に酔い芸尽くしに陶然とした望月に、主従は狙い寄り本望を遂げた。
 芸尽くしのうちに仇討ちを見せるという、芸としての面白さと、劇的な要素とを緊密に組み合わせた能である。役者の劇的な身体が問われる曲と言えよう。
 この〈望月〉は、鸚鵡小町とともに銕之丞家の曲と言われている。

〔'01/9/8 第12回 響の会 パンフレット掲載〕
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