響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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三井寺
曲名: 三井寺《みいでら》
作者: 不詳(元雅説/音阿弥説あり)
季節: 秋(旧暦8月)
場所: 京・清水寺
近江・三井寺
分類: 四番目物・二場
上演時間: 約1時間30分
上演データ: 響の会 第4回研究公演・2部
1997年9月20日(土)
銕仙会能楽研修所
シテ・野村四郎


第13回 響の会
2002年7月20日(祝)
宝生能楽堂
シテ・西村高夫
三井寺
奥善助〔撮影:前島久男〕
●あらすじ
文・表きよし(国士舘大学21世紀アジア学部教授)
 我が子が行方不明となって途方に暮れた千満の母(シテ)が清水の観音に参詣したところ、三井寺(園城寺)に行けとの霊夢を蒙る。門前の者(アイ)に夢合わせをしてもらい、千満の母は三井寺へと向かう。一方、千満丸(子方)は園城寺の住僧(ワキ)の弟子となっていた。
 今日は中秋の名月だというので住僧は千満丸を伴って月を眺め、能力(アイ)が千満丸を慰めようと舞を舞う。そこに我が子を思うあまり狂乱状態となった千満の母がやって来る。能力が鐘を撞くと千満の母も鐘を撞こうとして制止されるが、中国の詩人が良い句を思いついた嬉しさから鐘を撞いた話を持ち出し、鐘にまつわる様々な事を語りながら鐘を撞く。その様子を見ていた千満丸は狂女が自分の母であると気付き、ようやく再会を果たした親子は連れ立って故郷へと帰っていく。

〔'02/7/20 第13回 響の会 パンフレット掲載〕
あらすじ
文・表きよし(国士舘大学21世紀アジア学部教授)
 中世に横行していた人買いによる親子の生き別れを題材にした作品である。狂乱状態となった母が我が子を探し求める狂女物だが、三井寺での場面は月や鐘を中心に据えて、秋の夜の美しい情景を描き出すことに力が注がれており、狂乱の様子や子への思いが前面に押し出されていない。前場がきわめて短く、全体的にアイの活躍が目立つといった特徴を持った作品である。
 作者は明らかでなく、世阿弥の長男の元雅や世阿弥の甥の音阿弥など、世阿弥周辺の人物の手に成る可能性が考えられている。

〔'02/7/20 第13回 響の会 パンフレット掲載〕
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