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曲名: |
葛城《かづらき》 |
作者: |
不詳 |
季節: |
冬(旧暦11月) |
場所: |
大和・葛城山 |
分類: |
三番目物・二場 |
上演時間: |
約1時間25分 |
上演データ: |
響の会
第1回名古屋公演
2005年12月11日(日)
名古屋能楽堂
シテ・観世銕之丞
※ 小書「大和舞」
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観世寿夫〔撮影:前島良彦〕 |
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●あらすじ |
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文・飯塚恵理人〔椙山女学園大学助教授〕 |
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葛城山に、神の古跡を訪ねて山伏一行が訪れる。降る雪に降り込められて
いるところに、葛城山に住む女が現れ、自分の庵で一夜を明かすよう勧める。
女は焚き火をして山伏をもてなす。女の言葉によって葛城山では「薪」を「しもと」と呼ぶことと、この古今集の和歌との関係の話をして「大和舞」が舞われた神代の昔を偲ぶ。山伏が仏事をしようとすると、女は自分には三熱の苦しみがあると言う。山伏が尋ねると、この女は岩橋を架けなかったために役行者に縛られた葛城山の神であると正体を語る。
女は山伏に祈り加持を依頼して姿を消す。山伏が祈ると、蔦・葛で縛られた葛城の神が現れ、高天原もここであるので岩橋を架けて通おうといい、岩戸の前で神楽歌を奏して大和舞を舞い神代の昔を再現する。月も雪もすべてが白く、照り返しによって顔も白く見えるのだが、葛城の神は顔がはっきりと見えることを恥じて、橋を架けることもせず夜の明ける前に姿を消す。
〔'05/12/11 第1回名古屋公演 パンフレット掲載〕 |
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文・飯塚恵理人〔椙山女学園大学助教授〕 |
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『古今和歌集』巻第二十大歌所御歌に「古き大和舞の歌」として載る「しもとゆふ葛城山に降る雪の間なく時なくおもほゆるかな」という和歌をもとに作られた曲。中世において葛城山は高天原・天の岩戸の古跡であると考えられ、霊場とされていた。和歌自体の訳は、『薪を束ねる「しもと」である「葛」という名前を持つ葛城山に降る雪のように、つねにつねに思われることですよ。』ということで、本来は恋の歌であったろうと考えられている。この和歌は能では葛城の神が縛られた我が身を「間なく時なく」思う歌と解釈される。
「大和舞」の小書〈特殊演出〉となるので、正面に白い引き回しがされ、葛の上に雪綿の載る「雪山」がでる。また前シテは雪綿の置いた女笠をつけ、雪綿の載る「しもと」を負う。雪山の景色がより強調される。後シテの舞も「序之舞」から特別な「神楽」に変わり、女神の舞であることが強調される。
〔'05/12/11 第1回名古屋公演 パンフレット掲載〕 |
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