響の会〔清水寛二・西村高夫〕
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班女
曲名: 班女《はんじょ》
作者: 世阿弥
季節: 秋(旧暦7月)
場所: 美濃・野上
京・下賀茂神社
分類: 四番目物・二場
上演時間: 約1時間30分
上演データ: 響の会 第3回研究公演・1部
1996年9月21日(土)
銕仙会能楽研修所
シテ・西村高夫
班女
西村高夫〔撮影:前島写真店〕
●あらすじ
文・清水寛二/西村高夫
 美濃国・野上の宿に立ち寄った吉田少将は、遊女・花子と契り、互いの扇を取り交わした。それ以来花子は遊女としての勤めも忘れ、部屋にこもってその扇を眺め暮らすばかり。人々は、寵を失った自らの身を夏が果て見捨てられた秋の扇になぞらえた班□□(ハンショウヨ)に装えて、班女と揮名して呼ぶ。
 野上の宿の長は、勤めをしない花子を腹立ちのあまり追放した。〈中入〉
 吉田少将は東国からの帰りに野上の宿に立ち寄り、花子の消息を尋ねる。花子の追放を知った少将は失意のうちに都へと帰る。
 京都下賀茂、糺の森の社。吉田少将は祈念するところあってこの社に詣でた。
 恋慕故に物狂いとなった花子がこの社に現れ、少将との再会を神々に祈念する。無慈悲にも、面白く狂えと声をかけ、例の班女の扇はどうしととなぶる人々。花子の狂気は募る。形見の扇を見るにつけても秋の扇のように捨てられた独り寝を嘆き、必ず迎えに来るという男の約束もあてにならず、空しく待つ夜が重なるばかりと、ゆれる心のままに狂い舞う。やがて女の扇に気づいた吉田少将は女の扇と自分の持つ扇とを見較べ、ようやく再会を果たした。

〔'96/9/21 第3回研究公演 パンフレット掲載〕
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